同時多発テロ(911)についての児童書紹介

911についての回想(2004年2007年)を書きましたが、それと同時にどうやって息子に、いつ、このテロについて教えたらいいのか長い時間、悩んでいました。



当時のニュースが動画サイトにアップされていますが、さすがに飛行機が突っ込むところは見せられない……ということで、本で教えることにしたのです。

息子が12歳の時の、お話です。

2016年のことですね。




絵本『AMERICA IS UNDER ATTACK』

まずは1冊目は、『AMERICA IS UNDER ATTACK』



『アメリカが攻撃を受けている』

とでも訳すのかしら。



2001年の9.11に何が起きたのか、淡々と事実だけをイラストを使ってうまく描いている絵本。

その日にハイジャックにあったニューヨークのみならず、ペンタゴン、そしてペンシルベニア州に墜落してしまった4機について書かれています。




『What Were the Twin Towers?』

英語の多読をしている人ならご存じの『Who was~』『Who is~』シリーズを出している出版社が、ここ数年から出し始めている『What was~』『What Were~』シリーズのひとつして、9.11のテロだけを取り上げるのではなく、ワールドトレードセンタービルについての本『What Were the Twin Tower』です。



このシリーズは言ってみれば伝記ものであり、建物や土地、はたまた歴史的事実について教えてくれる素晴らしいシリーズです。

新宿南口にある高島屋横の紀伊國屋の洋書コーナーに、たくさんの、アメリカではみたことがない『Who was~』シリーズが置いてあったことも付け加えておきます。



16ページ付け加えらた写真が語ること

さて、このtwin towerの本。

誰の設計でいつから建設が始まって……という話の前に、ツインタワーが建っていたロウアーマンハッタンの簡単な歴史の説明など、非常に細かいです。



いつもなら写真が入っていないのですが、今回のには入っていて、まさかビルが爆発している写真入りとは買うまで知りませんでした。

というのも本屋さんで売っていなくて、Amazonで買ったからなんです。

ちょっとこれはキツいですよね。



というのも当時、テレビが飛行機がビルに突っ込むシーンとビルが崩れ落ちるシーンを執拗に何度も繰り返して放送したことにより、観ていた10歳以下の子供たちの精神状態が非常に不安定になったという事実がありました。



というか、観ていた大人でも気分が良い物ではなかったし、うつ病になった人が増えたのも事実。



2020年の今だと見ることはできるけれど、写真も動画もできれば見たくない、ですね。


どちらの本も、ドキュメンタリー系の絵本で、淡々とその日に何があったのかを伝えてくれています。



America〜の方は多分7歳くらいからは大丈夫だろうけれど、What Were〜のほうは10歳までは待った方が良いのではないかと個人的には思いますね。





『Towers Falling』

絵本もいいんですけれどね、もうちょっと大きい子用の本もご紹介。



こちらの本は本当に偶然に知ったんだけれど、小学生高学年から中学生くらい向けかしら。息子が読んだのも小学5年生くらいだったし、主人公の女の子も小学5年生だから。

Amazonで調べてみたら、8ー12歳と書かれていました。



この本を知ったのは、2016年の夏に日本に帰国していて、新宿高島屋にある紀伊國屋の洋書コーナーで。

日本に帰ると必ず行くんです、紀伊國屋の洋書コーナー。

少しは読書をしてもらいたいので、何かと探しに行くのです。高いお金を払って(涙)。



その時、たまたま平積みされていて『Towers Falling』って面白いタイトルだな、と。

イラストもなんかいいしね。



と、思っていたんだけれど、あれ、もしかしてこれって……



本の真ん中で折るようにダウンタウンのマンハッタンが描かれているけれど、良くみると、上がワンワールドトレードセンター、その下に、同時多発テロで倒れてしまったワールドトレードセンターが描かれている。



そう、これもまたテロを扱った本だったんですね。



小学5年生のデジャは、何も知らなかった

主人公のデジャは小学5年生の黒人の女の子。



親の都合で学校を変わったばかりの転校生。

学校はちょうどダウンタウンマンハッタンが見えるダウンタウンブルックリンと呼ばれる。ブルックリン地区にあります。



アメリカの学校は、9月から新学年が始まります。

新学期が始まって間もない、9月のある日の授業で先生が「あそこには何があったか覚えているわよね?」と言い、自分以外のクラスメイトが「知っている」とうなずくのを見てデジャは初めてそこに昔、何があったのかを知るのでした。



昔を語りたがらないでデジャの両親

あたしがこの本を読んでいて「キツい」な、と思ったのが、デジャがホームレスということ。


政府が提供しているホームレス家族が入るシェルター(ワンベッドルームのアパート)で生活しているんだけれど、そこでの生活が、ここハーレムの人たちともリンクして、なんだか他人事に思えなかった。



デジャのお父さんは特に病気ではないし、病気に見えないけれど、仕事をしていなくて、家族を支えるのは満足に稼ぎのない母親。

そして長女であるデジャは妹と弟がいて、二人の世話に追われている。



学校でセプテンバーイレブンスのことを知って、どうしてそういうことを教えてくれなかったのか、恥ずかしかったと両親を問いただすんだけれど、多くを語りたがらない両親を見て、何かおかしいと思い始め。



ある日、デジャは父親が肌身離さず大事にしている、でも1度も開けたところをみたことがないトランクが開いているのを発見。そのまま中身を見てしまう。



そこにある「あるもの」を見て彼女は衝撃を受けるのです。

それは、彼女の父親が、崩れ落ちてしまったワールドトレードセンターで働いていたという証拠のIDだったから。



デジャはそこで初めて、どうしてお父さんが働かないのか、働けないのか、を知り、まったく自分とは関係がないと思っていたセプテンバーイレブンスが、実は身近なものだったと気づくのです。



それ以外にもクラスメイトを通じてデジャの小さかった世界がだんだんと大きくなっていく過程も書かれていて。

特にクラスメイトのトルコ人でイスラム教の女の子、Sabeenが出てくるんだけれど、彼女がテロの後の不安を語るシーンがあって、そのことで黒人であるデジャがまた『人種』ということについて考えたり。



この本を通じて10歳前後の子ども達が「なぜ、このような事件が起きてしまったのか」ということを考えるきっかけには本当に良い本だな、と、思いましたね。



なかなかそういったことを伝えるのは難しいから。



もちろん、当時10歳だった息子にも読ませました。

感想は聞いていないけれど、彼の中で何かしらの感情が生まれ、それが育って、いつの日にか教えてくれたらいいのに、と思っている母です。



残念ながら日本語訳はでていませんね。

8歳から12歳が対象の本なので、そんなに英語は難しくないですよ……とは言えません。

わたしはそれなりに時間がかかったので。面白かったけれど。



でも英語圏にお住まいの方や、普段から英語に親しまれている人や多読している人ならさくさくっと読めるかも。

そんなにクセのある英語だったとは思わないし。

家族との会話が黒人英語特有の言い回しがあったかもしれないけれど、そんなにたいした問題じゃないので、うん、大丈夫です。



ということで、読んだ本の紹介でした。




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